クモタケ(バッカクキン科) |
Nomuraea atypicola |
2010年7月4日横浜市緑区 |
クモタケは主に春から夏にかけて地上に巣を作ったクモから発生する。 |
形状は長さ3cm〜8cm程度で宿主はトダテグモ類であることが多い。 |
この類のクモは地中に縦穴をほり生息しており子実体は巣の底で死んだ |
クモから伸びて巣穴の入り口からその先端を出す。 |
この子嚢菌は分生子を形成する不完全菌であり、胞子をつくる完全世代は |
Cordyceps cylindrica とされる。しかし、不完全世代がごく普通に見られるの |
に対し、完全世代は稀である。 |
この子嚢菌は、日本特産のものであり安田氏により1917年に |
Isaria atypicolaとして新種記載された。その後1974年にはSamsonによりI |
saria属からNomuraea属に移されているが、図鑑などによっては未だにIsaria |
が属名として用いられているものも多く、混乱を招いている。さらに、21世紀 |
に入って分子系統解析が行われると、このきのこがNomuraeaとは異なるグ |
ループに分類されることが示されており、将来的には属名が再度変更される |
可能性も高い。なお、種小名のatypicolaは「ジグモ(Atypus)に発生する」の |
意であるが、現在では宿主がジグモではなくトタテグモであることがわかって |
おり、こちらも性質を反映した名前となっていない。 |
不完全菌
不完全菌